
コンクール用チェロを製作する過程で、「テールピースの材質によって音にどのような違いが出るのか?」という素朴な疑問が湧き、実際に比較実験を行ってみました。
■ テールピースによる音質の変化を検証
使用したのは、以下の7種類のテールピース:
ローズウッド(Rosewood)
つげ(Boxwood)
スネークウッド(Snakewood)
ペルナンブッコ(Pernambuco)
黒檀/エボニー(Ebony)同メーカー品
黒檀/エボニー(Ebony)別メーカー品
プラスチック製
すべて私が製作したチェロに装着し、同じ条件で比較を行いました。
■ 音の違いはある?各材質の特徴と印象
木製のテールピースは、どれも甲乙つけがたい仕上がりでしたが、わずかながら音の深さや響きに差がありました。
ペルナンブッコは非常に豊かな響きと深みがあり、最も印象的でした。
ローズウッド、つげ、スネークウッドも自然で柔らかい音色を生み、優れた選択肢です。
黒檀は非常に硬く重いため、振動を抑制する傾向があり、やや響きが閉じた印象に。
一方で、プラスチック製は軽量ですが、音の伝達性が乏しく、音が平たく層の薄い印象になりました。
■ テールピースが音に与える影響の割合は?
チェロ全体の響きに対して、テールピースの材質が及ぼす影響はおおよそ2%程度と感じました。決して無視できない違いですが、楽器本体や弓、弦との相性も大きく関係します。
■ 音質順まとめ(私見)
ペルナンブッコ
ローズウッド、つげ、スネークウッド
黒檀(同・他社製)
プラスチック
※これは私が製作したチェロにおける主観的な評価です。他の楽器では結果が異なる場合もありますので、あくまで参考としてご覧ください。