1. アンドレア・グァルネリとヴィオラの歴史
アンドレア・グァルネリは、17世紀に活躍したクレモナの名工であり、ストラディヴァリやアマティと並ぶイタリアの巨匠です。
彼が製作したヴィオラは1660年代から1690年代にかけて現存しており、その多くは今なお演奏可能で、世界各地のコレクションや著名演奏家の手に渡っています。
2. 世界に残る名器たち
ロシア国立コレクション(1660–1680年頃)
アンドレアが1690年代に使用したコントラルトモデルと同じ型で作られたとされ、歴史的にも重要な楽器です。
「ビジァック、ウィッテン」(1664年)
クレモナ楽器の遺産の中でも特に保存状態が良いとされ、
サウスダコタ州シュライン・トゥ・ミュージック博物館に所蔵されています。
「ズッカーマン」(1670年)
偉大なヴァイオリニスト ピンカス・ズッカーマン による演奏を通じて、現代でもその価値を証明し続けています。
「コンテ・ヴィターレ」(1676年)
その美しい造形は、数多くの現代製作者に影響を与え、
グァルネリのコントラルトモデルが受け継がれるきっかけとなった名器です。
デイビッド・ジョセフォビッツ所有(1690年)
彼にとって一生に一度の出会いと語られ、
ロイヤルアカデミーの学生たちに貸与されることで、その歴史的重要性が次世代に継承されました。
今井信子氏のヴィオラ(1690年)
日本が誇るビオラ奏者 今井信子さん が所有し、その深みある音色は日本国内外で高く評価されています。
「プリムローズ、ロード・ハリントン」(1697年)
2012年にタリシオのオークションで記録的価格で落札され注目を浴びた楽器。
歴代の所有者の物語とともに、その響きは今も多くの人々を魅了し続けています。
3. グァルネリ・ヴィオラが持つ価値
これらの名器は、単なる楽器を超えた存在です。
それぞれが独自の歴史と物語を持ち、その背景を通じて奏でられる音楽は、計り知れない価値を秘めています。
アンドレア・グァルネリのヴィオラは、過去と現在、そして未来をつなぐ音楽の架け橋と言えるでしょう。
4. 私の手がけるアンドレア・グァルネリモデル
そして今、私自身もアンドレア・グァルネリ・モデルのヴィオラに挑戦してみました。
モデルは1690年のジョセフォビッツですが、F字孔はアマティーからの影響がまだ残る
1670年ズッカーマンを選びました。
そして白木(ニス塗り前)の状態で音響チェックをする大変貴重な実験動画をYoutubeにアップしました。
普段なかなか聴く機会がない白木の楽器の音をお聞きください。